歯科医の医事訴訟事例 その5
事 案
 患者は、平成15年1月10日午前10時30分ころ、歯科医院を受診し、歯科医師と歯科治療のための診療契約を締結した。医師は診察の結果、右側上顎第三臼歯(いわゆる親知らず)の抜歯を行うこととした。歯科医師は同日午前11時頃、抜歯するため、麻酔注射をしたが、医師が注射針を抜こうとしたところ、同注射針は、電動麻酔機本体の根本から折れ、患者の右上顎部組織内に破折した注射針が迷入した。患者は、歯科医師から本件事故の説明を受け、この歯科医師から紹介されたS医科大学医学部付属病院口腔外科で右上顎異物除去術を受けたが、残存する針を摘出することはできなかった。残存針の残存部位は、細かな血管や神経が多数ある所であり、訴訟の時点では本件残存針の摘出は困難な状態である。
 患者は原告として、歯科医師を被告として、不法行為又は診療契約の債務不履行を理由として、損害賠償請求訴訟を提起した。なお、本件訴訟においては、歯科医師の注射針の選択に過失があったことについては原告被告間に争いは無い。
判 決
 患者の後遺症の程度や生じた損害額についての判決・・・患者の後遺障害の程度は、後遺障害等級12級12号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」の程度に達していると判断しました。逸失利益の算定に当たり、患者の労働能力喪失率について、患者の後遺障害が後遺障害等級12級12号にあたる程度に達していること、症状が少しずつ良くなっていること等から、労働能力喪失率を10パーセントを超えることはないと認定した。【札幌地方裁判所 平成17年11月2日(判例時報1923号77頁)】
損害賠償請求額(円)
29,036,708円
(内訳)治療費及び交通費等の実費28万6365円+慰謝料500万円+逸失利益2105万0343円+弁護士費用270万)
判決による請求認容額(円)
17,178,985円
(内訳)治療費及び交通費等の実費28万6365円+慰謝料400万円+逸失利益1139万2620円+弁護士費用150万円)

◆歯科医院を取り巻く環境

・歯科市場動向の現状
・歯科医の増産と政策の不一致
・歯科医はワーキングプア

◆継続問題

・1日1軒が潰れる歯科医院 1
・1日1軒が潰れる歯科医院 2
・増加傾向が続く倒産
・不人気職種の歯科医師?

◆実際に起こった判決事例

・悲しい2つの事件
・医療事故・医療過誤から訴訟 1
・医療事故・医療過誤から訴訟 2

◆表面化する2極化現象

・2極化現象が強まる歯科医院 1
・2極化現象が強まる歯科医院 2

◆サービス業としての在り方

・歯科医院はサービス業

◆今後の歯科医院の進む道

・これからの歯科医院が進む道

◆歯科医の医事訴訟事例

・訴訟事例その1
・訴訟事例その2
・訴訟事例その3
・訴訟事例その4
・訴訟事例その5