医療法人の相続・事業承継対策
医療法人の設立が、昭和60年以降に急増し、そのほとんどが出資持分のある医療法人です。
医療法人を運営する理事長にとって、医業承継は経営の最重要課題です。毎年の利益を出資者に配当することができずに、出資持分評価額が大きく膨らみ、相続税納税資金対策が一般企業に比べて難しいためです。
1、出資持分評価額は高額になる
昭和60年の制度改正後、医療法人の件数は飛躍的に伸び、現在、全国で45,396件(平成21年3月)を超えています。その内、社団医療法人が45,000件(99.1%)で、過半は出資持分がある法人です。
種類別医療法人人数の推移
年 |
医 療 法 人 |
特定医療 法人総数 |
特別医療 法人総数 |
社会医療 法人総数 |
||||
総数 |
財団医療 法人 |
社団医療法人 |
1人医師 医療法人 (再掲) |
|||||
持分無 |
持分有 |
|||||||
平成17年 |
40,030 |
392 |
381 | 39,257 | 33,057 |
374 |
47 |
36 |
平成18年 |
41,720 |
396 |
410 | 40,914 | 34,602 |
395 |
61 |
|
平成19年 |
44,027 |
400 |
424 | 43,203 | 36,973 |
407 |
79 |
|
平成20年 |
45,078 |
406 |
1,034 | 43,638 | 37,533 |
412 |
80 |
|
平成21年 |
45,396 |
396 |
1,766 | 43,234 | 37,878 |
402 |
67 |
|
(出所)厚生労働省 各年とも3月31日現在数
医療法人のメリットは事業継続・承継の面などで多いのも事実ですが、一方でデメリットもあります。とくに、医療法・第54条で「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。」と定められている 点は相続・事業承継に大きく影響すると言えます。
医療法人の主なメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
| 所得税と法人税の税率差により、 税額の軽減が図れる。 |
医療事業の経営主体(医療法人)から出資者に対する 利益配当が禁止されている。 |
| 出資金を募って資本を集積することにより、 医療設備の充実化が図れる。 |
理事などへの賞与や貸付金等も制限されることがある。 |
| 土地建物を法人所有にすることなどにより、 相続対策が図れる。 |
資本金額に応じ、接待交際費の損金参入額に限度がある。 |
| 後継者がいなくても廃業せずに営業譲渡等で 存続を図れる。 |
理事や職員などが被保険者に該当した場合社会保険に 加入しなければならない。 |
| 退職金の支給が可能になる。 | 理事長は医師、または歯科医師でなければならない。 |
医療法人は普通法人と違い、毎年の利益を出資者に配当することができない。
(医療法第54条=剰余金配当禁止)
医療法人が毎年計上する利益は、「剰余金」として法人内部に蓄積される。
(理事長の出資割合に応じて蓄積される)
出資持分の『相続税評価額』は、高額になる傾向にある。

